
今日27日(火曜日)、明日28日(水曜日)に本州に接近上陸が予想される台風8号。
日本に近づく台風としてはおかしな進路を接近してきている。台風といえば日本付近では西から東に進むことが多いイメージです。
なぜ今回の台風は東から近づいてくるのでしょうか。それは、進路を阻む太平洋高気圧の存在と、台風とは真逆の寒気のかたまり「寒冷渦」の存在が関係しています。
では、『寒冷渦』とはなんだろうか。
暖かい空気のコアがある台風とは逆で、中心に寒気のコアがある低気圧です。
この寒冷渦は低気圧ですので反時計回りに回転しているため、台風8号は寒冷渦周辺を吹く風に流されて、北西方向へと進んでいくと予想されているわけです。

同じように逆走した台風があります。最近では平成30年台風12号。この台風も東からきて西に進路をとった台風で、今回と同じように寒冷渦が影響した台風です。
フィリピンの東の海上で発生した台風12号は発達しながら北東に進みました。この時期は西よりに進むことが多いのですが、夏の高気圧の位置が例年より東~北に移っていたことで、その縁に沿って北東進を続けました。
そして小笠原近海を通過した後、今度は北から西へと進路を変えることになります。この要因になったのが”寒冷渦”です。
このときには普段とは逆方向の強い風が吹き、いつもの進路の台風では被害を受けない場所で被害が出ました。
今回の台風8号は今のままの進路だと統計史上初となるかもしれません。
九州以南の緯度では東から近づいてくる台風も時々ありますが、8号のように東日本に東側から近づく台風は比較的珍しいと言えます。
近年では、岩手県に統計史上初めて上陸した2016年の台風10号や、三重県に上陸して西日本を東から西に縦断した2018年の台風12号などがあります。
もし、台風8号が茨城県、福島県、宮城県に上陸した場合、統計記録が残る1951年以降では初めてのこととなるからです。
夏は台風のシーズンとも言えますが農業被害も甚大になります。
2019年台風19号は出荷を目前にした青果物の産地に壊滅的な被害をもたらし、農林水産省の24日朝の集計では、農林水産業への被害額は全都道府県の8割を超える38都府県で計978億円となり、1000億円突破しました。栃木のイチゴ、国内有数のりんごの生産量を誇る長野県での被害が顕著でした。
今回の台風8号にも普段台風被害に遭わない地域での被害が心配されます。早め早めの対策をしてください。