野生のソーセージ〜森守の話〜

野生のソーセージ 〜森守の話〜

Sausage of Sauvage は、森林環境を守りながら野生動物に向き合う山の猟師と仲間達が、

山や森を守り、再生することを進めていく活動です。

オーガニックな森の実りで育った滋味深い野生動物肉をジビエではなく、仏的な呼び方「ソヴァージュ」

と呼び、ロースなどの流通しやすい部位以外の肉をソーセージという欧州の

伝統的な加工方法で有効活用することで、廃棄されている命を「食」としてきちんといただくことを続けています。

~森からのSOS~

このSausage of Sauvage をお楽しみいただきながら、ご理解いただければ幸いです。

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野生のソーセージ〜猟師と山の話〜

 

猟師が初めて父親に連れられて山に猟に行ったのは、小学三年生の時。

昔から伊豆の山にはイノシシがおり、猟師達は「巻狩り(四方から獲物を囲み

獲物を仕留める猟)」で野生動物を捕っていました。

その頃のイノシシは、里にとって大きな驚異ではなく、

シカを山で見ることはありませんでした。

野生のソーセージ〜猟師と山の話〜

 

猟師が中学二年生の時、山のイノシシが大量死してしまいます。

山にイノシシが増え過ぎ、豚コレラがイノシシ達に蔓延したためでした。

山にイノシシがいなくなった・・・

それでも、若き猟師は山に入り続け、下田や松崎町、そして故郷の南伊豆の

山々を歩き、多くのことを学びます。

野生のソーセージ〜猟師と山の話〜

 

木々の成長、

水の流れ、

動物や昆虫の生と死の営み。

毎日のように歩く山は、小さな変化を繰り返しながらも、

大きな循環の流れを止めることなく、ゆったりと存在し続けました。

ある時、山、森から川を通り、

海へと続く自然の循環が変わり始めたことに気

付きます。

南伊豆の山にシカがいる・・・

野生のソーセージ〜猟師と山の話〜

 

伊豆半島には、天城にシカが生息していました。

天城の国有林で保護されていたシカは個体数を増やし、やがて伊豆半島を南下します。

そして激減したイノシシも、再び繁殖を繰り返し、

増えすぎたイノシシやシカは、餌を求めて山の中を移動しました。

それまでシカやイノシシが住み処としてこなかった場所に姿を現すようになり、

それは、山の様子を一変させてしまうほどの旺盛な食欲で、食害を拡大させてきました。

野生のソーセージ〜猟師と山の話〜

かつては、人も山に入り、炭や薪の為に木々を伐採してきました。

「伐採= 環境破壊」ではなく、伐採することによって陽の光が入るようになった地面からは、

新たな芽が生まれ、切り株からは無数のひこばえが成長します。

地表の草は地面を覆い、しっかりと張った根と共に山肌をしっかりと抑えてきました。

しかし、植林事業によって豊かな森は、スギやヒノキの単一樹種に移し替えられ、、エネルギー転

換という大きな変化により、江戸時代から続く炭焼きや薪づくりも途絶えてきました。

南伊豆の年寄りは言います。

「こんなに大きく育った山は見たことがない」

 

野生のソーセージ〜猟師と山の話〜

人が入らなくなった山は、今、シカやイノシシが餌を求め自在に動きまわる場所となっています。

その行動範囲は里にまで拡がり、畑の栄養豊富な作物を食べた野生動物たちは繁殖力を増し、

一方で、食害を受けた農業者は耕作意欲をなくし、増え続ける耕作放棄地で、

野生動物は繁殖を繰り返す悪循環・・

猟師は言います。

「シカやイノシシと人間の住み分けが大事だ」

かつては野生動物と人はそれぞれの住み処で距離を保ちながら暮らしてきました。

生を受けた者どうし、それぞれの命をまっとうするために、

住むべき場所に、暮らしのあり方に戻したい。

 

ワナにかかったイノシシ

 

森守のシカやイノシシの肉は、野生動物からいただいた命を無駄に

することなくいかした食用肉です。

私たちは何を食べているのか、自然とどう関わっているのか、また、関われるのか、

少しだけ目を向けて欲しい。

自然も人も大きく変化していることに気がつくことは容易ではないけれど、

山を歩けば感じることがたくさんあります。

お互いが生きるために、命をいただく。

いただいた命を無駄にしないことで、今とは違う山や森、川、海、そして野生動物と

の関係をつくることができるかもしれない・・・

つくりたい。

どうぞ、ゆっくりと噛みしめてください。